Beretta DT10 浦和銃砲オリジナルカスタム製作
以前にコラムでDT10のナショナルチーム仕様と市販品の比較を掲載したのを覚えているでしょうか?銃身のスペックがまったく違う代物でよりASEシリーズに近いものでした。
私は自分で所持しているDT10を自分なりにカスタムし、より使いやすく改良したのですが日本人で唯一Beretta社の正式契約選手である中山選手が使用しているDT10は私が求めているスペックの銃でした。
どうしてもこれが欲しい!その思いは募る一方でした。
方法は2つあります。中山選手に頼んでもらってBeretta社に直接出向き製作してもらう方法。これはかなり厳しいという見解ですが彼女がスペアーで欲しいという名目で作ってもらえばそれも可能かと思います。
もう1つは正規代理店であるJGTから正式に発注してもらい製作してもらう方法です。
当店はベレッタに関して基本的に正規輸入品の取り扱いのみで販売しておりますので、どちらかというと並行輸入扱いとなってしまうのは避けたいと考えています。
そこでまずは正攻法でJGTにアタックしてもらうことになりました。
ポイントは色々あるのですがその1つとしてPerazzi社と違い社外製作品でのカスタムではなく実際にBeretta社(正確にはBeretta Due)にて製作されたという事実です。このことから中山選手のシリアルナンバーを聞きだしこれと同じものが欲しい!という風に聞いてもらいました。シリアルナンバーを調べればそのスペックが判明するでしょうしそんな物はない!と言い逃れができないからです。しかし2ヶ月を過ぎてもBeretta社からの回答はなく事実上の製作拒否という形になってしまいました。

これには色々は理由が考えられます。

@中山選手のDT10はあくまでも契約選手という特別な立場において製作された物なのでほとん どワンオフに近い状態でありそのため一般には作らない。

Aあくまでも中山選手のコーチであるランベルト氏が長年のBeretta社との信頼関係において特別にわがままを言って作らせた。

BBeretta社に対して正規代理店はすべてDueではなく本社に対しての発注になるため本社の会社方針としてスペック的なカスタムは受けない。

まず@について検討してみましょう。
この場合はもうお手上げです。一般的には絶対に手に入りません。Beretta社も中山選手には女性用として作ったと言う様に言われているようですしどうにもなりません。

Aの場合も同様でふらっとBeretta Dueに出向いていきなりオーダーしたところで無理でしょう。しかしこれはあくまでも正攻法での話です。ランベルト氏とも面識がありますしお願いすれば可能かもしれません。が、現段階ではあくまでも正規輸入品にこだわっていますのでその方法もなしということになります。

Bについてですがこれはかなりの可能性で起こりうる事態です。実際にBeretta社に行って見て感じたことですが本社とDueはまったくの別会社でカスタマー部門はDueにありDueでできることが本社では不可ということは十分ありえるのです。
私がBeretta社を訪問したときに日本国内ではDT10の左用がまったくの在庫なしで入荷の見通しがまったく立っておらず困り果てていましたがDueにその旨をはなしたら「左用?いくらでもあるよ?」といわれました。
は?なんで?と一瞬混乱したのを覚えています。そりゃそうですねメインの販売先であるアメリカにも左利きはいるでしょうしましてやアメリカ人にはサウスポーは多いと聞いていますので作っていないわけがないのです。
しかし本社ではあくまでも計画生産にのっとり年間の製作予定を国に報告してその数以上は輸出ができないようになっています。
そこでアメリカの銃砲店1店舗よりも取り扱いの少ない日本の代理店は足元を見られて後回しにされるなんてことも十分に考えられます。
ミロクも同じでミロク製作所の職人さんはどんなカスタムオーダーでも出来ますよ!と言っていましたが、あくまでもミロク商事が依頼を受け製作所に発注しないことには職人さんも動けないのです。いくらニッサンミロクを突っついても商事が受けなければカスタム銃の製作は事実上不可能なのです。
Berettaもミロクもその生産能力の高さから会社が大きすぎて細かなカスタムがまったく受けてもらえないのが現状です。Perazzi社が細かなオーダーを受けるのは会社の規模が小さいために何でもやるのが現状ですがPerazzi社もそろそろそう言う事が出来なくなってきたようですね。超高級銃のオーダーに関してはBeretta、ミロク共に行うようですがDT10クラスではまったく何もしてくれません。

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