射撃用装弾の選び方
皆さんは装弾のチョイスはどのような基準で行っていますか?価格?パターン?弾速?ブランド?
まぁ、人それぞれと思いますがこのページでは装弾についての仕様や名称、ショックの大きさ(私の体感)を検証してみたいと思います。これらのデーターをもとにご自分で自分にあった装弾が見つかるといいですね。

1.まず初めに装弾に付いての簡単な予備知識から説明して行きます。
クリンプ
現在市販されている散弾用装弾は大きく分けて2種類あります。6クリンプ8クリンプです。このクリンプと言うのは装弾の後ろの筒を閉じている部分のことを言います。6クリンプとは6分割で閉じてあり8クリンプは8分割で閉じてあります。この違いは生産能力やコストの問題ではなく装弾自体の設計段階で最も効率のよい弾速とパターンを得るためにカップ圧を調整するために行われています。当然8クリンプの方が硬く閉じていますので圧力は高くなリます。現在国内で市販されている装弾の約85%が6クリンプと思われます。メーカーによっては6→8→6クリンプと改良が加わるたびに変わっているものもあります。私の記憶ではFiocchiがそうです。圧倒的に6クリンプのものが多いですが8クリンプが良くないというわけではありません。
代表的な8クリンプ装弾は「ウィンチェスターAA、NIKE、レミントンRXP」等です。
 


ロンデル
ロンデルとは一般に袴(はかま)と呼ばれている部分のことで金属のベースのことを言います。これは4mm、8mm、12mm、16mmと有り長いものほど価格は高くなっていく傾向があります。単純にこの長さが長い物は高級装弾で短い物ほど一般装弾ということでもありません。実際に価格差はロンデルの長さに比例しますがこれも火薬の燃焼時のガス圧を効果的に得るための方法のひとつと考えてください。一般的には長いものほどショックがあります。狩猟用のマグナムなどは16mm以上を採用しています。強い弾ほど圧が上がりますのでロンデルが長くなるのです。
また、ロンデルの材質ですが一昔前までは
ブラス(真鍮)が一般的でしたが今はほとんど鉄にメッキをしたものが使われています。現在、私が確認しているブラスのロンデルを使用している装弾はフェデラルだけです。おおよそ6年位前までウィンチェスターAAはブラスを使用していましたが今は鉄を使用しています。これにはいろいろな理由があると思います。私の考えではまずブラスが鉄よりもコストがかかるのではないか?この点です。製品の質が同じならコストを削減するのは当たり前です。また、いまどきの散弾銃は銃身内にメッキが施されています。このため鉄のロンデルでも薬室を傷めないと言う理由も考えられます。実際に昔のミロクやFNを使っている人は経験していると思いますが、アポロスペシャルやレミントンRXPなどを長期に渡って使用していると薬室が膨らんでしまい、排莢しなくなってしまいます。これは16mmのロンデルが膨らんだ薬室に張り付き引っかかってしまうためです。こうなるとだんだん短いロンデルのものにかえて使っていかなくてはならなくなります。最終的にはウィンチェスターAAしか使えなくなってしまったと言うケースも多いようです。現在のミロクはメッキが施されていますのでこのようなことはおきません。
 



ワッズ
ワッズにはいろいろな種類があります。このワッズも各装弾メーカーの特許によってさまざまな工夫が施されています。大まかに分けると3タイプ有りウィンチェスターAAに使われているものとヨーロッパの装弾に使われているもの、思いっきりコストを削減して製作依頼をしているために使われるカップ、この3タイプです。
まずAAに使われているワッズは散弾が詰まっている底の部分に
半球状の盛り上がりがあります。これはウィンチェスターの特許でパターンに影響があるようです。AAが他の装弾よりパターンが良いと言われているのはこの半球状の効果と思われます。


次に、ヨーロッパの装弾に多く見られるタイプです。おそらく同じ会社が作っているもので、ワッズの底には
番号が刻印されています。この番号によって若干カップの羽の形状や羽の開きを調整する工夫がほどこされています。またクッション部分も柔らかいものから硬いものまでその装弾の特性に合わせてカップ圧が上がるように工夫されています。同じメーカーの同じ物を使っていてあれ?っと思ったときは火薬とこのワッズが改良されていることが多いです。特にフィオッキはよく中身が変わります。

カップと言うのはその通り羽の無い
ただのカップが使用されています。これはその昔、狩猟用装弾によく使われていた物でコストを下げる目的で今でも射撃用装弾に使われているようです。当然パターンもあまり望めないのではと思います。驚異的な低価格の装弾はこれが使われていることが多いです。

ケース
ケースには縦に筋は入っています。これは張り付き防止のために考案されたものでレミントンの特許でした。今では特許が切れたようで何処のメーカーでも使用しています。ウィンチェスターにおいては故意にケースにしわを入れることによって同じ効果を持たしてあります。
ケースはその昔、紙製が主流でしたが今ではプラスチック(ポリエチレン?)のものが大半です。しかしながら
フェデラルで最高級射撃用装弾は紙ケースでありアメリカのナショナルチームが使用しています。

実包の比較