クレー射撃メンタルと射撃率
一般的にトラップは「当てる競技」スキートは「外さない競技」と言われています。これはワールドカップ等の成績を見てもスキートは125点ストレートが比較的出ていることから外さない競技なのでしょう。23点を撃ってしまったらもう優勝は望めないからです。トラップについてはおおよそ大会が開催される射撃場の難易度で点数が若干左右されます。予選トップのスコアーも122点〜125点と幅があるようです。
当てる競技のスキートは世界中どこに行ってもセットは同じとされていて後は自分の射撃にはまるように調整をするだけです。ですから自分がいつもどおりの射撃をミス無くこなせればよいのです。
トラップは当てる競技と言うことで1枚1枚25回その1枚を当てることに集中し単純作業を繰り返せるか?が大事になってきます。自分の体験では集中が出来ている時のラウンドは非常に長く感じ10枚目くらいでもういやになります。「ただ向けて撃っても当たるであろう」しかし自分の当てるための勝負の形に構える組み立てを我慢して繰り返すのはとてもつらい作業です。しかしそれが当てると言うことでありただ撃つではダメなのです。
当てる競技=その1枚を当てる競技と私は理解しています。この当てるとは漠然と当てるのであって当てなきゃとか外せないでは無いのです。メンタルの悪循環はこのあたりにも潜んでいます。

例えば、今日の目標が90点だとします。しかしいきなりスコアーを崩してしまい18点を撃ったとします。この段階でイメージが悪くなり残りのラウンドも20前後でトータルは下手をすると70点台かも....。ここまで考える人はネガティブ街道まっしぐらです。18点スタートでも公式セットで満射が撃てる実力があるならば93点まで望めるじゃないですか。
また、23点-22点-23点と3ラウンド撃って最終22点で90点だとします。と言うことは3枚外してもいいのですが外した時の心理はどうでしょう?
15枚目で1枚失中⇒後2回外せる
19枚目で2枚目を失中⇒後1枚貯金がある..しかし当てなきゃ!
22枚目で3枚目を失中⇒もう外せない

この「もう外せない」が肝なのです。当てる競技なので1枚ずつ積み重ねればいいだけです。外せないだと心理的にものすごい負担がかかります。ここでもし残りを当てて22点をクリアーすればメンタル的にはかなりの経験値となるでしょう。しかしハイリスクハイリターンでありクリアーできなかった時はどうなってしまうか?2回目のチャンスの時に倍のプレッシャーがかかってしまいます。
ですから「何点撃たないと」とかでは無く1枚ずつ積み重ねることが前提で結果3枚抜きなら22点なのです。当てたことも外したことは忘れ次に撃つ1枚を絶対に当ててやると思う気持ちが大事なのです。
また残り3枚全部当てて90点と言う時に23枚目を失中してしまい90点が無くなってしまったらどうでしょう?実はここが一番大事な場面なのです。
実際にそのような場面を何回か公式戦で目撃しています。ほとんどの人が89点ではなくそれ以下の点数になってしまっています。
多くの人はこの状況を「切れたな」と表現していますね。
切れたってなんでしょう?私には理解不能です。
私の結論から言うと「切れる」=「諦める」だと思います。90点が目標で89点以下が確定した時点で諦めてしまって結果86点とかになるケースが公式戦等で見ていて多いです。例えその日の目標の90点がなくなっても出来るだけ90点に近い点数で上がることが大事なのです。諦めたらそこで終わりなのです。心が折れると諦め癖や集中力の欠如がパターン化して大事な時にパフォーマンスを出し切れなくなります。
国内試合の場合、基本は100個撃ちです。そこで試合に臨む上で大事なのは初め3ラウンドのスコアーメイクです。なぜかと言うと4ラウンド目はメンタル的なことや体力的なことで撃てる点数がほとんど決まってしまうからです。ですから最終ラウンドのスコアーについては何点を撃ってもそのスコアーを受け入れなくてはいけません。最終ラウンドが21点で合計が89点だったとしたら最終ラウンドの21点は底上げが出来ないのです。ですから22点なら....と悔やむのではなく21点で90点に足りるようなスコアーメイクを初めの3ラウンドでしておかないとダメなのです。
目標の90点に足りなかった分は初めの3ラウンドで補うのです。こういうことから自分は初めの3ラウンドで何点撃てば90点に足りるのか?を考える上でも90点がなくなっても諦めず最後まで1点でも多く上乗せするように努力することが大切なのです。
このことからも後半撃ち上げる事が出来る選手は技術、メンタルともに強い選手といえます。

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