ベレッタ682について              
682ゴールドEは682や682ゴールドと比べると若干初矢のトリガーの返しが長くなると言うマイナス要因を抱き込みながらも、確実な動作性を優先したのでした。TRAP射撃にはこの点は大きなデチューンと言える部分ですが、確実に弾が出ると言うことがまず第一に必要不可欠なのです。682ゴールドとゴールドEの変更点はメカ的には振り子レスと言う点です。他にバレルが従来はブルニトン処理が施されていたのに対しガンブルー仕上げとなっています。ブルニトンはいわゆる塗装のような物で錆びに強くメンテナンスフリーでしたが、それと比べてガンブルーは錆びが出やすく油断大敵です。スキートガンに対してはサイドリブを抜いて更なる銃身の軽量化をはかりました。さらに細かく言えば専用ケースがジュージアローデザインの物に変わりました。
最近になって銃身の軽量化が当たり前になってきましたが、5年位前には誰も耳を貸さず銃身の軽量化など愚の骨頂とまで私は言われたことを覚えています。自分のトラップガンのトップリブに穴をあけ軽量化をはかった事に関しても皆笑っていましたが、近年この行為に一つの答えが出たと思っています。682ゴールドのヨーロッパ仕様の銃身重量は大体1.46kg〜1.50kg位(トラップガン)に出来ています。(アメリカ仕様は重い)ゴールドEも同様で確実にオリンピックトラップ、スキート専用銃の銃身は軽くなってきているのです。スキート銃もサイドリブを抜いてかなり軽く出来ています。この点について事実関係は不明ですがイタリアナショナルチームスキート射手のE・ファルコ選手(アトランタオリンピックチャンピオン)のASEゴールドは銃身に限界と言うまで軽量化が施されています。トップリブには穴をあけサイドリブは先と中間の2点止めになっていて実に1.30kgを切る重さに仕上がっています。もちろん耐久性はかなり落ちるでしょうが、ベレッタ社の完全なるバックアップがあるため高価な銃身の交換はすべて無料なのでしょう。一般レベルではお金がいくらあっても足りませんがワークス体制とはそういうものです。このように一流選手のノウハウを確実にフィードバックしているのがベレッタ社なのです。
2000年にASEゴールドの構造を持ちながら682の鋼材で作られたニューモデルDT10の誕生はベレッタの他の追随を許さない決意の現われでした。現在、海外試合に行くと約65%位のTRAP射手がPerazzi-MX8を使っています。この情勢をみてベレッタ社はMX8に価格で対抗しつつ完璧なるコンペティションモデルを市場投入したのでした。DT10はアメリカ価格でも80〜90万円くらいで日本国内価格とほぼ同じです。この銃は682の耐久性とASEのロッキングシステムとトリガータッチを実現したのです。どちらの銃が無くてもDT10の誕生はありえませんでした。

ASEゴールドとトリガーシステム
DT10のトリガーシステムとロッキングシステム

ASEゴールドと比べれ見てもまったく同じつくりになっていることがわかる。仕上げはASEの方が磨きがかかり高級感がある。

ASEゴールドの心臓部 
窓から松葉バネの状態が把握できるようになっている

赤丸の部分がASEのロッキングシステム
SO5やDT10も同様の構造で出来ている。
 

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