ベレッタ682について              
昭和59年当時、発売されたS682にはシルバーとブラックの2種類さらにオリンピックモデルと呼ばれる五輪マークの金象嵌仕様が発売されていました。シルバーとブラックのカラーバリエーションは人気を二分し憧れの銃でした。メンテナンス的にはハンマースプリングの交換とハンマーやイジェクターなどが破損したときの交換位でした。しかし売れすぎた壊れない銃は同時にユーザーが銃を買い替えないと言う事態に陥ったのです。日本国内ではアップグレードへ買い換えると言うことは珍しくは無いですが、アメリカ等ではそうではなかったようです。さらに4種類の(実際には彫刻入りなどもあり多数あった)バリエーションを作るためのラインの確保など生産面でのコストを考えてS682ゴールドと言うまったく外見上同じでストーングレーフィニッシュと言う仕上げのものに統一されてしまったのです。ベレッタのコスト削減はラインの1本化だけではなく機関部内の部品の仕上げにも行われました。コスト削減のためのラインの1本化やパーツの品質低下により価格を大幅に下げてカラーを一新して売り込みにかけたのです。しかしS682では起きなかった2の矢が出ないと言う不具合が実に当店で販売したS682Gの70%に起きたのでした。原因は簡単でシアー切り替えの為の振り子が内部でこすれてしまいシアーが2の矢に移行しないことが原因でした。この部品の合わせの部分を磨くことで解消されますが、機関部内の部品の仕上げが雑になり磨くと言う工程を省いたことが決定的でした。この点を除けば現行の24g装弾を使用するルールに則ったスペックで作られているとてもよい銃です。しかしベレッタ社にはこのクレームが世界中からきたことと思います。いちいち生産段階で対応できないことから2000年にさらにS682Gをバージョンアップしたのです。

S682ゴールド機関部

S682DX 機関部

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