上海W.Cで選手が使用している銃!
4月に上海で行われたワールドカップに参加しました。上海の射撃場は空港から1時間位、市内から40分くらいのところにあり、中国の射撃競技団のトレーニングセンターを兼ねていてピストル、ライフル、クレー射撃とすべての競技施設がそろっています。当然宿泊施設もあり中国選手団はここで寝泊りをして日々トレーニングをしています。
大会当日、射撃場で販売されていた装弾です。特に中国製のジャーリンは前評判通り煙がすごくまた燃えカスがかなり出る弾でした。さすがに中国の選手も使用していませんでした。ショックは軽めですが価格は他の2種類が$8なのに対し$6でした。
クレー射撃場は約90mくらいのところに4m位の高さの壁があります。当然高いクレーは空抜けしますので曇りの日は見えにくいです。ちょうど千葉県営射撃場のようなロケーションです。射面はスキートトラップ兼用面が3つあります。
左の写真は日本チームの監督(中央)と通訳(左)とDTの尾上選手(右)です。右の写真はDT女子シドニーオリンピックチャンピオン ピア・ハンセン選手と仲の良い友達のホーキンです。
実際の射撃風景ですがクレーが見えにくいためにみんな苦戦していました。射台は兼用射面のため屋根は無く大会日程中雨がぱらつく事が多くパラソルを使っていました。海外の射撃場のほとんどがこのような作りです。
この銃はピア・ハンセン選手の銃です。シドニーオリンピックのときはおそらくそれまで使っていた682Gハイリブを使用していたのでしょうがオリンピック終了後きっとBeretta社から正式にAオファーが来たのでしょう。今回はDT10を使用していました。DT10は2000年に新規開発、販売が始まったモデルです。1999年に熊本でWCが開催されたときはトラップ射手の約70%がPerazziMX8を使用していて当然国内でもMX8に銃を入れ替えた人も多いことと思います。しかしオリンピック以降この状況に変化が出てきました。まず全体の選手が使用している銃のメーカー比率から説明しましょう。

2000年まで PerazziMX8-70% BerettaASE-10% 682系-5% 
その他 15%(FN、ミロク、ケーメン、クリコフ、など)
2001年5月
ソウルWC
PerazziMX8-68% MX10-10% BerettaASE-7%
DT10-5% 682系-2% その他 8%
2002年4月
上海WC
PerazziMX8-35% MX10-15% BerettaASE-10%
DT10-20% 682系-2% ミロク系-10% その他 8%
注:PerazziMX8にはMX2000、MX3、MX6、MX11を含みます。
注:一般にメーカーオファーにはAオファーとBオファーがあるらしく、聞いた話ですがベレッタの場合Aオファーは銃の完全無料提供、台の製作、トラブルがあれば航空券を送ってくるそうです。
Bオファーは銃は無料で貸し出し扱いで他のメーカーの銃に変える場合は返却または販売価格(定価)の半額を払い購入、台の製作だそうです。契約金制度があるかどうかは良く知りません。きっとあるのだと思います。特に装弾の使用契約にはありそうですね。
そうなのです。まずPerazziに関して言えばMX8とMX10が半々でした。発売当初からゲテモノ扱いされてきたMX10をかなりの選手が使用していました。純正のMX10を使用している人が半分でMX2000ベースにMX10の銃身をつけている人が半分でした。私もMX10は個人的にも使ってみたい銃の一つです。ようやく世界に認知され始めたようです。
また、ベレッタは圧倒的にDT10が多かったです。イタリアのペリエロ選手もDT10を使っていました。これだけユーザーが多いと自分も欲しくなってしまいます。また、イアン・ピール選手やラシネ選手の影響かミロク(MK38)を使用している選手もちらほらいました。ミロク銃もシドニーでのトラップ銀メダル獲得(男女とも)で十分に世界で通用することを証明されたせいでしょう。

しかしながら、ベレッタやペラッチのAオファーを受ける選手の使用している銃はワークス仕様の銃身がついています。前々からそのような噂はありましたが噂ではなく間違いないと確信しました。まず彼らの使用している銃の銃身重量は軽いということです。ピア・ハンセン選手のDT10はハイリブでしかも交換チョーク式です。もちろん銃身の重量を示す打刻は1.66kgとなっていましたがこの打刻はうそです。通常のノーマルならばこの重さで間違いないですが持ってみた感じはかなり軽く出来ていました。DT10自体がかなり重めに出来ていますが彼女の銃は682クラスの重量バランスに仕上がっていました。つまりオファーを受けている選手の銃の重量打刻は信用できないということです。
ペリエロが使用しているDT10も銃身の着色が通常の物となんとなく違う事から僕の持っているワークス仕様のMX8と同じくワンオフ物なのでしょう。もちろん打刻は1.57kgとなっていましたがきっと1.40kg位と思われます。ワンオフ物の銃身はいろいろな指定が出来ます。ウェイト率やクロスポイント、銃身重量などです。
ペラッチもナショナル仕様銃身は通常の物とは別に保管してあり一般売りはしていません。
ミロクもそうですがPL法にのっとり製作された銃は強度のマージンをかなりとっています。つまり銃身の肉厚も厚いのです。市販の銃はどんな弾を使用(28gや32gなど)しても対応できるように作られていますが、ワークス仕様はあくまでも24g専用なのです。24gには通常の銃身と同じくらいの耐久性を持たすことが出来ますが32gを使用し続けるほどの耐久性ないのです。よって絶対にその約束を守れる人、さらにその銃を転売をしてしまい32g等を使用して事故が起きると困るので常に所在を把握しておく必要があるようです。このような銃身のついている銃が世界に何十本か存在するのは事実です。