平成23年9月7日〜15日(競技日9月11日〜15日)
 
3日目の朝を向かえ、アイドリングから戦闘モードにシフトして行く準備を始めました。
一般的には競技3時間前に起きて準備をすると言われていますが私は4時間前に起きるようにしています。
起きて1時間はアイドリング状態で、まずは熱めのシャワーを20分じっとして浴びます。とくに首、肩、腰の3箇所を重点的に温めます。温まってきたら少しずつストレッチを始め体をほぐしていきます。
その後、鏡の前でフォームの「今日の体感」を確認して目を冷やします。
準備が終わり朝食を食べて、いざ競技会場に出発です!

昨日の失敗を踏まえ上位入賞を狙うならば今日は絶対に24点以上必要になります。
競技40分前と15分前に2回据銃練習をして前の組が残り5枚くらいに待機所に移動しました。

今回は1射面ですのでセットは3番のみで出るクレーは15種類だけです。射台ごとにクレーの飛行線をイメージしてクレーが出たら丁寧に振り出す事だけに集中して競技に臨みました。
結果は23点で外した2枚の内1枚は方向が確定しているクレーでした。
競技終了後、外した2枚について考察してみましたが外的姿勢、内的姿勢に問題は無く、どうしようもなく外れたと結論付けました。しかしながらじっくり考えてみるとやはり原因は存在しました。

これは「絶対に満射を撃ってやる!」を言う気迫の問題でした。
私は競技中は常に「冷静に淡々と決められた仕事をミス無くこなす」と言う姿勢で臨んでいます。
しかし、このラウンドは「絶対に当ててやる!」と言う「勝利意欲」が出過ぎていたのが失敗に繋がりました。
私の考える【集中力】と【やる気満々】は同じベクトル上にあり、その境界線は本人では分からないところに難しさがあります。

これのコントロールがうまく出来ておらず2枚外してしまったのだと分かりました。
だいぶ前に海外遠征でオーストラリアのゴールドメダリストのラッセル・マーク、ダイアモンド・マイケルと一緒に食事をしている時に「It is not good to concentrate on it too much.」と言われたことを思い出しました。

例えばゲージが100あるとして100を超えるとやる気満々だとします。
本能で射撃をするタイプの人は破綻する限界が140くらいなのかもしれませんが組み立てて射撃をするタイプの人はやはり100を超えると破綻するのです。

3日目が終わり全体順位は67点で5位前後でした。上位入賞するには、いよいよ24点以上が必須な状況になってきました。
全体のスコアーボードを見に行くと24点以上のスコアーを出している人が殆どいない状況でした。山口国体に参加した証としてなんとか24点以上を1回は撃ちたいと思うようになりました。
しかし最終ラウンドも22点で終わり89点で競技を終了しました。結局24点以上は1回も撃てず消化不良気味でしたが崩れず平均して撃てた事に自分の中で良しとすると納得しました。

全体の成績を見に行くと私より上で最終ラウンドを残しているのは福島県代表の大竹さんのみでした。
岡山県代表の田中さんと、もし21点になると3人で競射だねと話していましたが21点を撃つことはまず無いでしょうと言う事になり田中さんとは同点で撃ち分けが全て同じの場合は最終ラウンドの先に外したほうが下位になると言われ私は4位以上が確定しました。

しばらくすると田中さんが「3位競射になったよ!」と言いにきました。何と大竹さんは体調を崩してスコアーを大きく落としたのでした。

国体の競射は1ラウンド25枚を撃ち同点の場合はその後シュートオフと言うルールです。
【もう一度満射にチャレンジするチャンスが巡って来た!】私は静かに燃えてきました。
栗原監督に競射が決定したことを伝えると監督は競射の開始時刻を確認しに行ってくれました。
栗原監督に監督席に入ってもらうようにお願いして、いよいよ競射が開始となりました。

2人での競射なので10秒ルールはありません。先にも書きましたが私は5人で撃っていることを想定して30秒間隔でコールするように心がけました。(DVDを見る限りは1番射台を除き20秒でした)
特に緊張は無く、皆4ラウンドで終了した山口国体を「もう1ラウンド撃てる!もう一度満射に挑戦できる!」と言う事に嬉々としていました。

今回の国体を通してこの競射が一番よい射撃が出来ました。23点で終了しましたがDVDを見る限り外れた2枚は僅かセットアップまでの時間が早くそのためか振出が早くなっていたようです。満射は撃てませんでしたが結果には十分満足しております。

田中さんが22点で終了したので私が勝って3位となりました。
この結果は今年の年明けの東京公式で58点を撃ったことからは想像できない、よい結果となりました。

【山口国体には絶対に参加したい】と言う気持ちがモチベーションにつながり競射に勝ち3位で終了とは自分でも正直驚いております。

つくづく射撃はメンタルなスポーツだと思いました。【モチベーション】とは射撃競技において【最も重要なファクター】なのです。

国体は運動会だからとか、お祭りだからとよく聞きますし実際に自分が初めて参加した時にそのように思いました。
しかし個人、団体で上位を目指して頑張っている都道府県の選手には国内最高峰の競技会であることは間違いなく、その競技会の3位の表彰台は思いのほか視界が高く感じました。
そして1位の視界はもっとなのか....と思い、次こそはそこへ!と思いを馳せるのでした。
 

個人表彰台3位

表彰式の写真を撮ってくれた栃木県代表の鈴木さん
 
トラップ種目団体3位 
 
埼玉県総合7位 


おまけ
人間魚雷「回天」と下関「唐戸唐戸魚市場」