クレー射撃が上手くなりたい!2 (トラップ)

 クレー射撃競技がスポーツである限り基礎訓練は非常に大事です。基礎訓練は定期的に行い確認をしなければなりません。

常に行き当たりばったりでラウンドを重ねても、その時その時得られるものはあっても再現性に乏しくなります。
この再現性を確かなものにするのが基礎となります。その日その時の体調や気分によって達成された成功体験には裏付けが無いために次回に反映できる要素が極端に少なくなります。

特に体感に依存している人の再現率はどんどん低くなっていきます。体感の一例としては足の裏の接地感や重心の乗り方です。これらは腰の位置が多少ずれていても最終的に同じ感覚で立ててしまうからです。

そのため、スタートの形が違えば設計図が同じでも最終形は変わりますし頬付けも変わってきてしまいます。
取り合えず、いつもの見え方に照星を合わせる。そうです。合わせて安心するのです。

外的姿勢的には全く違っているのにもかかわらず同じになっていると勘違いして撃ち込むことにより、そのずれはドンドン大きくなってきます。そこで、今までの経験則からさらに修正を入れていくので、もう2〜3回目に射撃に行った時には全く違う射撃をしています。

もちろん良い方に転ぶこともありますがそれをまた再現できないと言う事には変わりがありません。
これが一般的には波でありバイオリズム?と言っている人が多いです。

トップアスリートにも当然波はありますが基本的には意図的に波を作ります。それも振れ幅の少ない波です。
目指した試合でピークに来るように調整してその試合が終われば必ず一度落とします。
そしてまた、次の試合に向けて再構築していくのです。

壊れるのではなく小規模に壊して積みなおすことで再現性を持たせている感じですね。

私はこれを登山に例えて考えております。
通常は7号目辺りをウロウロしてゆっくし登っていきます。そして試合の1週間前くらいに8号目に登り、直前で9合目に持っていきそこでストップ。
試合当日1ラウンド目に山頂アタックし2ラウンド目で山頂付近、3ラウンド目で登頂、4ラウンド目は「ヤッホー」と叫んでいる感じならば完璧です。
そして下山ルートに入り7合目でまたベースキャンプします。

良く前日に不安からなのか、たくさん撃って良い点出して自信を付けようとする人がいます。
だんだんと調子が出てきて24点以上当たってきて仕上がった!となり当日2ラウンド目、ヘタをしたら1ラウンド目から下山ルートまっしぐらの場合があります。

基本的にはその作業は1週間前に終わっていなければなりません。そして試合前の1週間は自分の一番起きやすい凡ミスを潰したり、当日試してみたくなりそうな事を全部試して「これはやってもダメ!」とダメ出しをして「俺にはこれしかない!」と言う心境で試合に臨むことをお勧め致します。

なので練習で満射を撃つ必要は全くありません。練習で何回満射を撃っても試合で撃てなければ意味がないのですから。
やるべき事をやっていたら結果的に満射だったのならば、その限りではありません。

そこでやはり大事なのは基礎訓練と言う事になります。定期的に基礎を見直し確認することが大事です。

ほとんどの人が「クレーを当てて」終わりですが、そうではなく「クレーを当て続けて」初めて目標が達成できます。
ストレートをちゃんと撃てる人が非常に少なく、それも当て続けられない原因の一つです。
そこには間違った指導にを受けて覚えている場合もありますし自己流で癖になっている場合もあります。

イメージとして縦の動きは先台を持っている手だけで持ち上げるように動かすのが基本です。この時肩が一緒に上がらないように注意が必要です。
ほとんどの人がカジキマグロ一本釣りで上体が起き、頭が後ろに下がります。この動きでは銃の角度はほとんど変わらないので2の矢を撃ってフォロースルーを出す辺りで銃が減速するか止まります。
腹筋に力を入れ後形になり頬も甘くなって銃が止まる。最悪です。これの対処療法でメチャクチャ頬付けに力を入れて甘くならないようにアドバイスされる場合が多いですが、そうすると今度はますます後形になり速く直線的な動きしかできなくなります。まさにデススパイラル!

どんなフォームでも目標とするゴールはストレートを撃った時と同じ形で左右が終わっている事です。
例えば、目線より上まで縦に振った形で、そのまま左右に振ります。
その時と左右にダイレクトに同じ高さまで振った時の形が同じかどうか?が大事です。

特に右利きの人は右が、左利きの人は左が違う形で終わっている場合がほとんどです。
一度各自で確認してみてください。

まずはここを完璧に近づけましょう。
そして実際にクレーが出ても脊髄反射でつられることなく自分の意思で銃を振り出すことが大事です。


時と場合により当てはまらないこともありますが基本的に日本独自の神話として受けつがれている真髄があります。

 1)手撃ちにならないように先台は握るな
 2)クレーは飛ばして撃て
 3)頬付けは頭が震えるほどしっかり付けろ
 4)グリップをしっかり強く握って肩に引き付けろ
 5)スタンスは正面を向け
 6)正規より速いクレーを撃っておけばそれより遅いクレーは楽勝
 その他たくさんありますが...
 1)→全ての振出のコントロールは先台を握っている手で行うのですから全く逆です。
海外では先台をしっかり握って理想はグリップ握らず人差し指1本で引き金だけ引くです。

2)→これは目が先に行ってしまっているときの対処療法なのでしょう。海外ではクレーを飛ばすという行為は振出に失敗した時の状況です。

3)→基本的に手のリフトからの上体のリフトでスイングができれば頬は銃床に乗せているだけです。銃床が持ち上がるので頬付けは勝手にしっかり付きます。
 
4)→これも1)にかかわってまいりますが基本的にバランスよく持つことが大事でグリップよりも先台の方を強めに握っていないとです。そして先台の方で肩付けをするイメージです。
グリップをしっかり握って引き付けるとパッドを中心に体が流れてスウェーしますし後形になり易いです。そして肩付けの力加減は最低限銃を保持できるくらいの圧力です。

5)→これはもう頭を軸にして右スイング(右利き)することを放棄しています。軸足のつま先の方向までしか軸でスイングができないからです。

6)→確かに一理ある!と思うでしょうが感覚が慣れれば確かにそういう感じはあります。
でもそれは速度や見た目に騙されず脊髄反射で目や振出がすっ飛ばないくらい技量がある場合です。
ほとんどの場合「このスピードでこの角度ならここにクレーが飛んでくる!」の予測100%で銃を振り出す事となります。そうすると最終的にはクレーの先で銃が止まり1点撃ちとなり頭の中で正解の引き出しが開いたときだけ当たるとなり、当て続けるには限界を超える集中力が必要となります。
 
基礎は少ない弾数で上手くなる為には必須です。しかし基礎訓練はつまらないのです。なので楽しく撃ちたいのならば定期的な訓練こそ大事かもしれません。トラップは感覚重視ですから間を開けないことが大事です。

選手として強くなりたいのであれば常に基本を意識して基礎訓練も定期的に行うことが大事です。
練習は練習ですからメリハリをつけましょう。点数は追わないで基礎訓練の日もあれば今日はしっかりインターバルを取って100個4ラウンドで点数を取る!と言うのも大事です。

一番大事なのは自分なりの試合の臨むルーティーンや競技中のルーティーンです。基礎訓練を織り交ぜながら色々試してベストな方法を見つけましょう。