岩手県水沢〜岩泉狩猟報告  平成16年11月20日〜23日
ここで狩猟用語をいくつか紹介します。

居鳥(いどり):餌などを求めて田んぼや畑、林道に出ているキジや山鳥のこと
          居鳥はその習性から10:00と15:00頃が狙い目である

稲刈り(いがり):稲のモミを田んぼなどに捨ててあるところに餌を探して集まってくる鳥のこと
使用例 「昨日、この先の田んぼでキジが稲刈りしてたよ」

呼び戻し:その名の通り犬を呼んで主人の元へ戻すこと。この呼び戻しがきかない犬は次の猟場に移動が
      できないために迷惑をかける。最低限のしつけとして呼び戻しは必須である。

ポチ、チビ、ベス、チャッピー:総称してポチと呼ぶことが多い。ポチとは餌だけ食べて働かない犬の
      ことである。主人が到底撃てない様な遠くでキジなどを追い飛ばすダメ犬のことを言う。追い
      飛ばすだけならまだいいが犬によっては獲物を回収せずに食べてしまったり呼んでも帰って
      こない犬もいる。しかしながらポチなのは犬のせいではなくすべて主人のせいである。訓練と
      愛情が足りないと、どんな良い血統の犬もポチになるのである。
使用例 「ポチなんかつれてくるから捕れないんだ」

四足:猪や鹿、熊のこと
使用例 「俺は四足専門だから」

ポイント:犬がキジや山鳥、コジュケイを抑えること ポイントする犬種は決まっていて主に鳥犬と四足犬
      と番犬と分かれる。ポイントは鳥犬が持っている本能的スキルで主にポインター、セッター、ブリ
      タニーなどがいる。

ブツ(撃つ):狩猟では獲物を撃つことを「ブツ」といいます。
使用例 「踏み出しで出たキジをったんだけどさぁ〜」 「オスだ早くて!」

ブチカタ(撃ちかた):狩猟をする人の事、ハンター 
一応ハンティングをする人には等級があるらしい ハンター⇒猟師⇒ブチカタ⇒マタギ 
使用例 「あの車はブチカタだな。犬小屋を荷台に積んでた」

実弾、ロケット:ライフルドスラッグ弾のこと
使用例 「ここは熊が出るからロケットもってけよ!」

ギャル:メスギジ、メス山鳥のこと たまに野良仕事をしているおばあさんのことを指す事もある
使用例 「右手に稲刈り(いがり)してるギャル発見」 「ギャルじゃ撃てないな」

おっぱずす(外す):獲物を仕留め損なう事
使用例 「足元から出たんで慌ててブったんらおっぱずしちゃったよ」

突き撃ち:肩付けしないで槍で刺すように獲物に向けて撃つ撃ち方 クレー射撃練習などしない
       ブチカタ独自の狩猟スタイル
使用例 「そんな銃なんて構えて撃ってるからおっぱずす(外す)んだよ。出たら突き撃ちでいいんだよ」

泥棒:藪を歩くと衣服につく棘のある植物の種子のこと 結構付くと頭にくる
2DAY岩泉町(21Nov2004)

am6:30
2日目もまず昨日山鳥が出たポイントを責めようということになり2グループに分かれました。ボスとM氏がペアとなり私とU氏が案内人と行動することになりました。M氏はまったくの初心者で取れないまでも何とか弾を抜かせようとボスも必死でした。私も一番良い条件で撃ってもらおうと別行動をしました。じゃぁここで分かれましょうと山すそに差し掛かって私が移動したその時オスキジがフラッシュしました。どうやら踏み出しで出たようです。一瞬反応が遅れたのと低く水平に飛んだため私は撃つ事ができずあきらめましたがキジの進行方向に合流する案内人グループが居ましたので20mくらい飛んで着地したようです。着地した先は小さなボサで這って逃げた様子も無くそのエリアに必ず居るのは間違いありません。4人で囲んで犬を放します。しかしながら一向にキジは出ません。しばらくしてフラッシュしましたがなんとボサから10m離れたプレハブの裏に移動していてそこから出たのです。その場所には2人立っていましたので通常ならば確実にGETなのですが正面はプレハブなので屋根の上まで上がらないと撃てません。やっと屋根の上に上がって2人が1発ずつ撃つも毛が散っただけで飛んでいきました。

am6:35
分かれて5分後に昨日と同じ場所からオス山鳥がフラッシュM氏が1発発射するも当たらず飛んでいきました。

am7:00
その後、山すそから沢へ入ったボスチームのほうから銃声が3回聞こえましたが合流後状況を聞くとオスが2羽、メスが1羽出たそうです。はじめのオスにボスとM氏が1発ずつ撃ち2回目のオスはなんと犬に追われて木止まりしたらしくM氏が発射!本人は命中しておちたと思い落下地点に走っていて獲物を確認するも羽も散っておらず、どうやら弾は外れそのまま飛んで逃げた様子。この時M氏は右股関節を早くも疲労から痛めきつそうにしていたらしいのですが落ちたと思って痛いのも忘れ尋常ではないスピードで藪に駆け込んだそうです。人間ってすごい!後に自分自身も体験しますが「獲物が落ちた!回収せねば!」なんてことは考えるまもなく体が反応しドーパミンだかエンドルフィンだか(脳内麻薬)が出まくり痛いのなんてまったく忘れています。

am8:00
私は相変わらず田んぼの中を1人で河川敷組みと平行に歩き踏み出し作戦を決行するも1羽も出ませんでした。途中で出た様子が河川敷組みから感じ取れましたが川向の道路側に飛んでいったようで発射せずに見送ったようです。この河川敷のポイントは犬を連れている人が川づたいに藪の中を歩かないと道路のほうに飛んでいってしまい撃てないのです。ほんとに捕りたい!捕らせたい!と思えば当然案内人やT氏グループも藪に入るべきなのです。とまぁ言ってるまもなく現実にはT氏グループの犬が50mも先ですべてのキジをおっ飛ばしてしまったらしく捕れるはずも無くこのエリアは終了しました。

am10:00
朝一のキジを逃した後は撃つチャンスも無く合流後場所を移動しました。
そろそろキジも山鳥も稲刈リ(いがり:おそらくこう書くと思う)の時間なので田んぼや林道に出ているだろうと車を流します。居鳥は見えず昨晩の宴会で狙いを付けていた沢に上りました。こちらは中腹まで車で上がれる場所で本来ならばかなり上までいけるのですが数年前に木が倒れ車が入れないようになってしまいました。枝沢との分岐点で車を止めて枝沢を攻めましたが臭いも無く車に戻ってきた時に本沢の左側からひらりと鳥が飛んでいくのが見えました。???何だ?目を凝らしてみているとまた1羽.....。さらに1羽飛んでいった時にオス山鳥だと確認できました。メス⇒メス⇒オスの順番で本沢の左斜面から頂上のほうに飛んでいったのです。この光景は私のみが目撃しすぐボスに報告しました。よしせっかくだから上がってみるか!移動するのを取りやめ本沢を登りました。しかし枝沢も多く上まで上がりましたが山鳥は居ませんでした。6本近くある枝沢のどれかに入ったのでしょう。1つ1つ入っていくと時間がかかってしまうのであきらめて車に戻りました。と、その時山鳥が下った場所と思われる地点で犬が止まります。さらになにやらガサガサと音が聞こえ出しました。ん?山の上を目を凝らしてみるとどうやらカモシカがいる様子。なるほど...カモシカの追われて山鳥は下ったのかと話していたら犬はしつこく迂回しながら人間では到底登れない斜面をグイグイと上がっていきました。これはまだいるぞ!7合目付近でついに犬の動きが忍び足モードに入ります。2頭いる犬の若い方(1.5歳)が懸命にあがって行きます。地鼻を使い這って行き時々高鼻で方向を確認し実に認定から15分くらいかけて急斜面を登っていきついに頂上付近でポイントしました。みなに緊張が走り弾を込め銃を構えます。「よし!」の合図とともに犬が踏み込みましたが山鳥は難なく尾根を越え飛んでいきました。尾根越えの山鳥に対し犬の鳴きが入り沢にこだまします。ここで午前中終了です。

am11:30
午後から猿沢方面に行きました。猿沢に行ったのは別の理由もあります。昨日居鳥を撃った場所に猟区の腕章を落としてしまったらしく回収もしないといけないのでそちらに流しました。腕章を無事回収し車を流していると林道の真ん中にメス山鳥がいました。車を止めるとガードレール横にオス山鳥がいるのに気が付きすぐさま銃をケースからだし車を降ります車を降りるのと同時に山鳥はガードレール下のがけに逃げてしまいましたがまだ飛んでない様子!10mほど道を下り林道から崖の足場の良い所に降りて銃カバーを外し弾を込めます。ボスに犬を下ろしてもらい下らせようをした矢先に山鳥が下ってきました。崖にへばりついていた山鳥は羽音もなく飛んだために完全に不意を衝かれた形になり構えて撃つもおそらく2m後ろ....。カスリもせずに飛んでいきました。
正面からの沢下りの体験はこれが初めてでこんなに速いのか!とビックリしました。
この後案内人グループと偶然合流しお弁当を食べて案内人の取って置きのポイントに移動しました。

pm12:30
車でしばらく走った後に着いた場所は未収穫で放置されたトウモロコシ畑でした。すばやく用意して犬を入れて撃つ準備をしましたが臭いも何もなく、ここにいないのならば、ほんとにキジの数が減ったんんだなと落胆を隠せませんでした。

pm2:40
昨日オスキジを確認したポイントに移動しました。私とM氏は対岸に回り道路方向に飛んだキジを確実に抑える作戦で移動をしました。ボスたちは河川敷を歩きせめていきます。しかしまっく臭いも無く合流ポイントに移動してくれと無線が入り車に向かっていたその時銃声1発がしました。お!出たのか?とそのときまたもや2発音がしました。急いで車で合流地点に移動を開始しました。移動中もまたもや銃声が1発!なんかすごいことになってるな!合流するとボスとU氏は80坪くらいのボサを挟んで立っていました。どうやら半矢にしてしまったようです。オスキジが4つ出て2つ半矢にしたらしく近くに落ちたほうを回収しようと犬を入れて捜索中だったようです。結局近いほうは回収できず山側に飛んでいったほうの回収に向かいました。犬を入れるとすぐさまポイントし見事に回収。オスキジ1羽確保しました。
後で話を聞くともう諦めて銃から弾を抜き衣服についた「泥棒(とげのついた植物の種)」を取っていたら犬が20m先でポイントしたため慌てて銃に弾を入れて走っていったそうです。
@まずメスキジが1羽
A次にメスキジが3羽
Bその後オスキジが1羽
Cまたメスキジが2羽
Dさらにオスキジが2羽
Eまたもやメスキジが2羽
F今度はオス1羽とメス2羽が一緒に!
G最後にメスキジ1羽
なんと15羽の郡鳥だったそうです。
岩手じゃないとまずこのような郡鳥は見れないねと話しましたが例年通りならこのような出会いが1日6回はあるのですが今年はこれ1回切りでした。
本日の終猟予定時刻pm4:15分までいけて1箇所ということで、どこを攻めるか作戦会議をしました。M氏を案内人に付け猿沢の林道で居鳥撃ちをしてもらいボスグループはその反対側の林道で居鳥撃ちをすることに決定しました。

pm3:30
目的の林道入り口に到着。この時にボスが「庸一よ今回は山鳥はあきらめろ。まぁしょうがないだろ」といいました。まぁ今回私が先頭を歩いていれば少なくとも山鳥3キジ2は取れていたと思いますがこればっかりは運と出会いがすべてでM氏に猟の醍醐味を体験してもらいたいという気持ちはボスも私も同じでしたし気にしていませんでした。日没時間も迫る中とうとう居鳥も見えないまま行き止まりの空き地まで来てしまいました。林道は空き地10m手前で終わりなのでここでUターンして帰ろうと車を切り返していた矢先オス山鳥を発見しました。そうです!車を止めたときになんだか居るような気がしていて私だけずっと1点を見ていたのです。2回目の切り返しの時に木の陰に隠れていた山鳥が反転し尾羽が見えたのでした。「頭隠して尻隠さず」まさにこれです!ボスもU氏も見回した場所でいないと判断しUターンをしたのに私の「いた!オスだ!」の言葉には半信半疑だったようですぐにいる場所を教えましたが見えなかったようです。私は銃をケースから出しカバーを外し走りながら弾を込め鳥に近づき構えました。間違いなくオス山鳥!距離は15m林の中を這っているために木の幹が邪魔になる。弾は1発しか装填していない。狙いを定めてから5秒くらいたって木時の間に入った瞬間発射!見事命中し「イタダキー」と叫び、すぐさま急斜面を駆け上り回収しました。回収してビックリ!え?ここを上がって来たの?と自分でもビックリ(笑)M氏が足の痛いのも忘れて藪に駆け込んだのを思い出しました。そうです私も右股関節と左ひざが痛くて歩くのもしんどかったはずなのですが獲物の回収をすることで痛みなど吹き飛び駆けあがったのです。回収してどこを歩いて降りようか迷っているうちに痛みがぶり返してきました。当然上って来た所からは降りることはできず迂回しながら何とか車まで戻りました。

なぜ「イタダキー」と叫ぶのかは自分でもわかりませんが確実に取れた時は必ず無意識に叫んでいます。前に岩泉でキジを捕った時も叫んでいました。この時は頭にCCDカメラを取り付けて撮影していました。飛んでくるオスキジ、担いでいる銃をあわてて構え弾を送り狙って撃つ!次の瞬間「イタダキー」と絶叫(笑)20mくらいの距離でしたが1発で仕留めた一部始終がカメラに収まっていました。ハンティングシーンでこのような映像を撮ろうと思ってもなかなか撮れる物ではありません。今でも貴重なお宝映像になっています。

話は戻りまして捕獲時間はpm3:58で終了直前でした。最後の最後にラッキーな瞬間が待っていました。これで約束していた人に山鳥の剥製をプレゼントできるとほっとしました。
ここで気がかりなのはM氏です。何とか捕らせようと一生懸命に尽くしたのですが捕らせられなかったなぁとボスが落胆していました。自分が捕るのは簡単だけど捕らせるのは難しいと心底嘆いていました。案内人から捕れたという無線も入らないし諦めて宿に帰るとなんとM氏も山鳥を捕獲していました。しかも3羽回収したうちで一番尾も長く立派なものでした。私の山鳥は当歳で剥製にするにはイマイチでしたがM氏のそれはとても立派な山鳥でした。これでU氏がキジ、M氏と私が山鳥を捕りボスは今回の狩猟が最高のものになったと満面の笑みを浮かべたのでした。


2日目:猟果 キジ 1羽  山鳥 2羽
目撃鳥獣 オスキジ 6羽  メスキジ 15羽  オス山鳥 5羽  メス山鳥 5羽  カモシカ 1頭
発射弾数 ボス1発 U氏:5発 M氏:4発 庸一:2発


その日の晩はM氏が股関節をさすりながら歩いていたと思ったら忍者のようなスピードで藪に入っていった事や15羽の郡鳥に出合った事、私が最後に山鳥を捕ったことM氏も見事に初狩猟で山鳥を捕ったことなどで夜遅くまで盛り上がったのでした。ボスは3人が見事捕獲したので明日は朝から猟はしないでゆっくり起きて、そのまま水沢に移動しようと提案しそうすることにしました。

その日の夜中にボスは寝言でこう言いました。
「ジュディー(犬の名前)前!ジュディー前!」
しばらくして「よ〜しよしよし!良くやった良くやった!」
きっと夢の中で山鳥を捕ったのでしょう。

見事なポイントを見せたクイーン号
山鳥を完全に抑えて号令とともにフラッシュさせましたがメスだったために見送りました。

最後の最後で何とか捕獲!しかし岩手の山鳥は尾羽が短い(;_;

3日目に続く