現在ミロク製作所では年間約14万丁のペースで銃器を生産しています。この銃器とは上下二連、上下二連ライフル銃、単身ボルト散弾銃、単身ボルトライフル銃、自動散弾銃、自動ライフル銃、空気銃であり、1999年度は15万丁弱の総生産でした。現在散弾銃の生産数は170丁/日です。
日本国内で1年間にどれだけの銃が取引されているかと言うと約5500丁/年だそうです。これに対しアメリカはどうかと言うと2000万丁/年と言う途方もない数なわけです。ここで分かる通りミロクも総生産のほとんどを海外に輸出しております。国内分はじつに1%に満たないのです。
現在ミロクでは輸出向けのフィールド銃が主力製品として生産されています。国内仕様分はすべて高級銃扱いで生産されていて、さらにSPグレードのすべては生産のラインから途中で外れてスペシャルカスタムラインへと変わります。SPシリーズは高級銃班なる別働隊が細心の注意を払い魂を込めて製作に当たっています。特に銃身内の磨きに付いては最終工程で砥石を使わず竹を使い完璧に磨かれるのです。生産量170丁/日と言うことは1日に340本の丸棒から銃身を削り出すことになりますがこの340本の銃身からSPシリーズに使えるような銃身は多くて2本くらいしか出来ないそうです。この偶然出きる良い銃身も蝋付けの段階で出来が悪いとボツになるので実質SPシリーズは1ヶ月で数丁しか製作できません。まさに職人のプライドをかけた傑作品なわけです。

他のメーカーの上下二連銃と違いミロク銃は磨り合わせの部分がとても多くどんな規格の銃もこの合わせの作業はすべて職人さんの手作業で行われています。各作業行程で厳しい検査がなされそのすべてをクリアーした物のみが出荷されます。この磨り合わせの作業のことを「カブ合わせ」と言います。このカブ合わせに技術の高さは世界一なのです。一丁ずつ鑢で削りながら合わせていくので磨り合わせの部分の極端に少ないベレッタの様に簡単に銃身交換するということは無理なのです。現在ヨーロッパでは銃は使い捨てに近い扱いになってきています。ガタが来たら新しい物に買いかえると言う発想で作られていますがミロク銃は一生使える質実剛健な銃を目指し作られているのです。
このカブ合わせの段階まで来ると銃身とレシーバー、さらに先台の留め金の3部品が常に一体となってライン上を回ります。僕が驚いたのはこの点です。最終段階で銃身をカブ合わせするのかと思っていたからです。各パーツを作ってからいっきに組み上げるとばかり思っていました。これだけ一生懸命作られているのだから良い者が出来て当然です。
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