天才と秀才と........ |
私がこの業界に入り11年たちますが、銃を新規に所持したお客様に技術指導をしていて気が付いたことがあります。初心者はおおむね2つのパターンに別れます。1つはいきなり当たる人、もう1つは中々当たらない人です。ここで面白いのがいきなり当たるからセンスがあるかといえばそうでもないのです。トラップで言うと当たる数よりも引き金を落とす速さが問題です。これはあくまでも私個人の統計であって一般論ではありません。 ここでいくつかの実例を上げます。 |
引き金が速い人 @初撃ちから引き金がめっぽう速くスコアーもいきなり20点(真直ぐ)くらい撃ってしまった Aって言うか教習射撃でいきなり満射!(過去に2人います) B当たらないけど引き金は速い @の場合は引き金も速く照星とクレーの当たる位置関係をすぐに発見し、そこで引けてしまう器用な人です。こういう人は順調に技術が上がっていきます。当然レベルが上がってくると狙点が変わってきますがいち早く気が付き自分で修正して大きな壁もなく満射までまっしぐらです。さらにフォームや軸、スイングと教えたことを家で練習して実射に反映させてきます。こういう人は天才です。 Aのケースはまれですが実際にいるんですこういう人が!教習射撃の練習段階で照星とクレーの当たる位置関係がわかってしまい何も考えずにそこを撃つことが出来る人です。@のケースと同様に天才です。 Bのケースは2パターンに分かれます。1つは正確にクレーの後や上などを撃って正確に外しているパターンです。これはクレーと照星の当たる位置関係を間違って覚えているために正確に外すと言う現象がおきています。この場合は実際に当たる狙点を教えてあげて矯正すると当たりだします。しかしながら狙点が狂ってくるとまた外れだしてしまい波が発生してしまいます。もともと勘所は良いので定期的に狙点のチェックを怠らなければ当て続けていくことが出来ます。このタイプの人は天才を凌駕することが出来る秀才です。 もう1つはまったくとんでもないところで引き金を引いている人です。これはだめです。通常自分よりもスイングが速いと自分を基準に考えてもっとゆっくりスイングしてと教える人がたくさんいますがその人の反射神経と動体視力が自分よりも抜群に良いとすると自分の常識外のスイングスピードで振りながらもクレーが見えていて引き金をちゃんと引いている場合があります。このような人はゆっくりスイングする必要はありません。見えているのですから!ところが全く狙うどころではなく引き金を引くので精一杯で単に振り回して速く引いてしまう人がいます。こういう人はスイングをゆっくりに修正し狙点を教えてあげるところから始めます。本人の努力しだいでは秀才になります。 |
引き金の遅いひと @引き金は遅いが正確にクレーを狙って撃ちいきなり20点(真直ぐ)くらい撃つ人 Aライフルから転向してきたひと B当たらなくて引き金が遅い人 @のパターンは性格的に慎重なのか狙いこむ癖があります。狙いこむせいで外してしまうこともあり速く撃つのではなく早く引き金を引くことを教えてあげます。このような人は慣れてくると、いつまでも狙っているような無駄なことは無意識にしなくなり段々と撃発点は近くなってきて満射まっしぐらです。こういう人も天才です。 Aライフルから転向してきた人は本当に引き金が遅いです。これは10xに命を掛けてきた性分からおいそれといい加減には引き金は引けないのです。クレー射撃とは散弾銃で散弾実包を使うためにパターンと言うものが存在しこの辺で撃てばクレーが割れるということを認識しだすまで少し時間がかかります。ライフルは0点から10点まであり狙いこんで9点でもしょうがないですがライフル的に言うとクレー射撃は0点か10点しかないのです。当たりかはずれ.....。 もともと射撃経験者で引き金を引くということが当たり前の感覚になっていますので大胆にせめて行けば静から動への転進は一般の入門者よりも早いはずです。天才か秀才かはその人しだいです。 Bのパターンも「引き金が速い人」のBと同じく2パターンに別れ1つは正確にクレーの後や上などを撃って正確に外しているパターン。これはクレーと照星の当たる位置関係を間違って覚えているために正確に外すと言う現象がおきています。この場合は実際に当たる狙点を教えてあげて矯正すると当たりだします。しかしながら狙点が狂ってくるとまた外れだしてしまい波が発生してしまいます。もともと勘所は良いので定期的に狙点のチェックを怠らなければ当て続けていくことが出来ます。このタイプの人は天才を凌駕することが出来る秀才です。 もう1つは引き金を引くことで精一杯で狙うまで行かない人です。まず自分の銃の狙点を徹底的に知るところから始めます。真直ぐをだしてもらいゆっくり銃をスイングして照星とクレーを良く見て照星とクレーがどのくらいの位置の時に割れたかを確認しさらにイメージして次射に取り組むことを繰り返して地道に訓練していく必要があります。やっているうちにある日突然当たりだします。これは慣れの問題で気持ちや技術が自分の守備範囲内に入ってきた時に自信と余裕が出てきて順番が来たら銃を構えて撃つのが当たり前の状態になるからです。そういうあなたは秀才です。 |
皆さん自転車の練習を初めてした時を思い出してください。左右のバランス感覚をいち早くつかみすぐに乗れる様になる人、何回も転んで血だらけになりやっと乗れるようになる人いろいろいます。乗れるようになるまでは人それぞれ個人差があると思います。クレー射撃もこれと一緒で自転車も乗れるようになってしまえば1年くらい乗らなくても転ばずに乗れますよね?ですから基礎が固まってしまえばある程度期間があいてもすぐに思い出し調子を取り戻すことが出来ますし基礎が固まるまでの時間は人それぞれ違います。 私の考える天才とはセンスがある人。ならばセンスがある人とは「器用さ」と「反射神経」と「動体視力」に優れている人であり秀才とは射撃が好きで「器用さ」と「反射神経」と「動体視力」のどれかが欠けているが「努力」を積み重ね上手くなりたいとがんばる人です。 |
ところが........ いるんです(ボソ) 世の中には天然と言う人が! |
先ほど自転車の話をしましたがきっと中にはいきなり転ばずに乗れてしまう人もいるはずです。 そうです天然です! イチローが言っていたそうです。私は天才ではない。私はヒットを打つけどヒットを打てるようなフォームで打っているので当たり前なのです。ところが「何でそんな打ち方でヒットやホームランが打てるんだ!」と言う人がメジャーにはたくさんいます。そういう人は理論や技術ではない何かがあるんでしょうねと。 まさに天然!! 私の知っている限り当店では今までに5人天然がいます。 初めの一人は大のモデルガンマニアで銃が好きでそれはもう許可が出た日はベレッタを抱いて寝たくらいの人です。満射を撃つのには4年(25枚目をプレッシャーで外すこと20回くらい)かかりましたが始めて1ヶ月で練習で93点を撃ち4ヶ月で90点を滅多に割らなくなり射撃を始めて9ヶ月で公式デビューし3回目で86点を撃ちました。仕事の都合上休みが少なく練習はあまりできず給料のほとんどを射撃に費やし栄養失調になるくらい射撃が好きでした。今は時々撃っています。 2人目は家族が射撃一家で射撃銃はFN以外は屑だと洗脳を受けてきた人です。当然所持銃はFNで32インチ銃身を使っていましたが信じられない距離でクレーを割ります。常識を逸している早撃ちで国内で彼より32インチで早く撃てる人はいないでしょう。彼はたまにしか射撃に行かずその才能は埋もれていてもったいない限りです。 3人目は初めてあった時に射撃が3回目で当時使っていた銃がアメリカ仕様で台も長くピッチダウンも浅くこんな銃じゃ通常初心者は顔を腫らすのが関の山のはずが誰に教わったわけでもなく、まるでイタリアのオリンピック選手を思わせるようなフォームでいきなり23点を撃っていました。そのフォームは誰かに教わったのか?と聞いたら「こういう風に撃たないと当たらないんです!」と答えが返ってきました。な、何者だこいつ!と思ったことを覚えています。射暦1年で公式デビューし3回目の公式でAクラスを撃ちましたが仕事が忙しく公式も1年でやめ練習も全くしていません。 が!6ヶ月に1回くらい浦和ガンクラブに出てきますが満射くらい平気で撃ちます。つい先日も今年3回目の射撃と言っていましたが97点を撃ちました。当店でも最強の天然です。 4人目は初めから競技思考で国体や海外を目指しクレー射撃に入門をした人でとにかく反射神経と動体視力が抜群で「今のは暴発だろ!」と突っ込みたくなるようなところでクレーを割ります。実際に見えているから引き金を引いているのだしちゃんと割れているしスゴイの一言です。本部公式やナショナルチーム合宿などで国内のトップシューターを見てきていますが彼より引き金の速い人はいません。ワールドクラスのトリガータッチは天然のなしえる業(技)と驚愕しています。技術的なことは外国人射手がやっていることを取り入れてレクチャーしています。日本国内ではいまだに間違ったことを正しいと教えていることが多いので変な方向に行かなければよいなぁと思っています。 5人目は最近許可を取得した人です。始めて6回目位で満射を撃ち3ヶ月で公式デビューし3回目の公式で90点を撃った至極の天然です。いまだ発展途上の彼がここまでのポテンシャルを持っているとすればオリンピックも夢ではないと本気で思います。 このほかに関東に私が確認した天然が栃木と神奈川に各1人います。一人は当然国内で最強クラスの射手です。もう一人は良い指導者にめぐり合えればさらに上にいけるでしょう。 皆さんのまわりにも天然がいることと思います。 ちなみに私は天然でも天才でもないですね。残念ながら才能はあまりないようです。私の場合は1から故渡辺和三選手のコーチに手ほどきを受け無駄のない練習を積み重ねた結果、最短コースで技術と理論を詰め込んでもらいました。言わば「努力型」ですね。ダブルトラップはコーチの勧めでトラップのバランスの訓練の一環でやっています。オリンピックにいければ別ですが今年で一応ダブルトラップは区切りをつけて来年の埼玉国体に向けてがんばるつもりです。 |