トラップ入門初心者のための自宅トレーニング法

その1 グリップの正しい握り方

まずは正しく銃のグリップを握る方法を覚えてください。
安全に銃を取り扱う上でもトリガーをスムーズに引く上でも重要な項目です。
銃によってはパーム(グリップのふくらみ)が有る物と無い物がありますが特に握る方法に差はありません。
どちらの銃も同じように下記の方法で握ってください。


グリップの正しい持ち方
 

トリガーを引く指の位置は第一関節と指紋の頂点の間で合わせるのが基本位置となっています。おおよそ左の写真の位置に来るようにあわせてください。
指の位置を決めたら中指の上に銃を乗せます。
初めのこの2点の距離を決めます。
2点が決まったらこの位置関係をなるべく変えずにグリップのフィットする位置に手のひらを合わせましょう。
パーム付きの場合はフィット感の良い所があるはずです。
またコームに親指を引っ掛けるような感じで握ると良いでしょう。
よほど手の規格が日本人離れしていない限り写真のような感じになると思います。
指が真っ直ぐねじれずにトリガーに来ていればスムーズに指が動くはずです。
ベレッタの682シリーズやDT10、シナジー、SKBのMJシリーズのようにトリガーの位置をアジャストできる銃の場合は有効に、この機能を活用しましょう。
パームのフィット感重視で握った時にトリガーが余る場合や届かない場合はトリガーの位置を前後に調整して見ましょう。
調整の仕方が分からない場合は無理せずに購入銃砲店に相談すると良いでしょう。


悪い持ち方の例
 
指が深く入りすぎている例です。
この場合トリガーのリリースのタイミングが一定しなかったり、トリガーが戻りきらずに2の矢が発射できなかったりします。
トリガーに指が届いていない例です。
この位置では一般的にトリガーを引く反応に対しては最も早く対応できますが反動の衝撃などでずれてしまったりしてやはり2の矢発射時のタイミングが合わない場合があります。
またグリップを強く握るようになりますので初心者にはお勧めいたしません。
一般的に何も教わらないとほとんどの人がこのように上から持つようなグリップになってしまいます。
反動を軽減する観点からも効率が悪いのでやめましょう。
また、構えた時に必要以上に肘が上がってしまうので注意が必要です。
上から銃を握る形ですとトリガーを引く指にも無理が生じてきます。真っ直ぐスムーズに引く事ができず必要以上に力が入り繊細なトリガータッチが出来ず非効率的になります。

その2 空撃ち
 

許可が下りてまず初めに出来る練習は「トリガー」を空打ちすることです。
これは、初撃ちまでに出来るだけ多く行っておいてください。銃の開閉などの基本動作に慣れると言う目的はもちろんですが、一番の目的は「指がトリガーの重さを覚える」と言う点にあります。

初めのうちはゆっくりトリガーを絞っていき、これ以上トリガーを引くとハンマーが落ちると言うポイントを自分で認識できるようになりましょう。
慣れてきたら思い切りよく引くようにしましょう。

引き方は特に指定はありません。イスに座っていても、あぐらをかいていても、立っていてもOKです。腰溜めでも構えても自由に行ってください。
注意事項として、もちろん「実包を装填しない」のは当たり前ですが「人がいる方向に銃口を向けない」これも守ってください。

また、空撃ちをするにあたり空撃ちケースの使用をお勧めいたします。空撃ちケースを使用しないと撃針を痛めることも有りますしハンマースプリングに松葉バネを使用している銃は松葉バネが折れてしまうことがあります。(バネの仕様については購入先銃砲店にお問い合わせください)

なぜ「空撃ち」が有効なのかと言うとクレーと照星が当たる位置関係に来た時に正確に弾を発射するスキルを上げるためなのです。
要するに目で見た情報を脳が処理して指にトリガーを引けと命令した次点で弾が発射されないとクレーと照星の位置関係が変わり狙点がずれてしまい結果として当たらないのです。

狙いと撃発の瞬間がリンクし出すと思いのほか当たりだします。
しかしトリガーの落ちる瞬間がばらついていると自分ではクレーと照星が当たる位置関係でトリガーを引いているつもりでも結果的に外れてしまうのです。

クレー射撃を始めると誰にでも自分の銃のトリガーの重さを指が覚え頭の中に「トリガーを引く回路」が構築され無意識にトリガーを引くようになります。
この「トリガーを引く回路」と当たる撃発の瞬間が「リンクしているか?」でクレーが割れるかどうか?に大きくかかわってくるのです。

POINT 1
実射ではトリガーを引くときは出来るだけ早く指を動かし思い切り引きましょう。

POINT 2
トリガーは指の第1関節から指紋の頂点部分までの間で引きましょう。

 

その3  真っ直ぐの練習
 

初撃ちの時は出来るだけストレートのクレーだけを射撃場で出してもらい徹底的に練習しましょう。
クレー射撃は縦軸と横軸の2軸制御で照星を使いクレーに狙いを定める競技です。
その基礎としてまずは縦軸の動きと理想のスイングを身に着けるためにストレートの練習は必要不可欠です。
いきなり通常ルールのセットを撃つのではなくストレートから入門しましょう。

ストレートから始めるのは決してストレートがやさしいからではありません。まぐれで当たる可能性を考えると左右に飛んでいくクレーの方が当たる確立は高いくらいです。
これは発射された散弾は若干帯状に(ラグビーボールのような感じ)広がり飛んで行きますので左右のクレーに対しては帯が通り過ぎるまでにクレーに当たればよいのです。
しかしストレートに関しては散弾が開いた輪の中に入らないと割れないのです。なので、意外と中級者はストレートを外すことも多く一概に簡単とは言えないのです。

しかしながら始めたばかりだと2軸を制御する左右斜めに飛ぶクレーよりも真っ直ぐ上方向に飛んでいくクレーの方が狙いやすいと言う観点からストレートから入門となるのです。

基本な正しいスタンスや構え方、銃の振り方についてはこちらを参考にしてください
ここで重要なのは目線が水平である事腰を引いて前傾姿勢である事撃ち終わるまで前傾姿勢が保たれている事です。

上記の3点に注意してまずは実射の前に家でのトレーニングです。
まずトラップ射台をイメージして、図1のように3箇所に目印を設置します。@からスタートしてBまでスイングします。途中Aでトリガーを引きます。
この時にAでスイングが止まらないようにしてください。




 

初めは「@からBまでゆっくりスイングして行きAに来たらトリガーを引く」と行くのを繰り返してください。
このトレーニングは筋トレではありませんので2回くらいスイングしたら銃を折って下ろしインターバルを取って下さい。
慣れるまではAでトリガーを引くときに銃が止まってしまいがちですが、止まってしまうとクレーの下を撃ってしまいます。これは実際にはクレーも動いていますので銃が止まると弾着はクレーの下となってしまいます。

あくまでも「@からBにスイングしていく課程でAの位置でトリガーをすばやく引けるか?」と言う反射神経のゲームだと思ってください。
精度も当然大事なのですが、それよりも「一瞬のタイミングを逃さず(狙いこまず)思い切り良く(潔く)トリガーを引けるか?」が一番初めに要求されるポイントなのです。

このトレーニングは入門後もしばらく続ける事をお勧めします。一般的にスイング練習として実際にクレーが飛んでいる角度をイメージして行っている人も多いと思われますが入門段階ではまったく意味がないので変な癖が付いてしまう前にやめた方が無難です。

前傾姿勢を保ったまま先台を持っている手を上に持ち上げる動作でストレートの練習をしましょう。
どうしても左右のスイング練習をしたいのならば水平かダウンスイングで八の字(左右斜め下方向、30cmに対し5cmくらい下方向)のスイングが良いでしょう。その際に出来るだけゆっくり振るのを心がけてください。
理想は30cmを30秒(あくまでも理想、20秒くらいでOK)です。

POINT 1
@からBまでスイングする時にAで銃が止まらない(減速しない)用にしましょう。

POINT 2

疲れてくると据銃姿勢が後形(上半身が後ろに、腰が前に出てくる)になり射撃姿勢としては最悪の姿勢になるので連続して何回もスイングしないようにしましょう。筋力には個人差があると思いますが2回を限度としてインターバルを取りましょう。

POINT 3
スイングは必ず前傾姿勢を保ったまま先台を持っている手を上に持ち上げるように行いましょう。
 
 

さぁ!実射に行こう!!

上記の、その1〜3までをシッカリ練習したならば次は実射です!
射撃場で常に考えなくてはいけないのは「安全な取り扱い」です。
安全な取り扱いとして銃の開閉動作はシッカリと確実に行い、銃口の向きにも常に注意しましょう。
初撃ちの時は特に1人では行かずに銃砲店や、経験者に同伴してもらいましょう。

周りのペースに合わせて急ぐ事はありません。ゆっくりで良いですから正確に安全な動作を心がけてください。
射撃中に何か分からない事(クレーが出ない、割れて出る等)が起きたりした場合も慌てずにまず初めに銃を折りそれから行動するようにしましょう。

安全な取り扱いが無意識下でも自然に出来るようになるまでは初矢のみの1発撃ちで行いましょう。
早く2の矢を撃ってみたい気持ちも分かりますが銃を折る動作や撃ち終わったらトリガーから指を抜く動作が考えなくとも出来るようになるまでは2の矢はあきらめてください。

危険な取り扱いをしている射手に中々親切に声を掛けてくれる方は少ないです。
ほとんどの射手は自分が撃たれないように一緒には絶対に撃たないようにしたり違う射面に移動したりします。
自分で判断せずに銃砲店など同伴者に安全な取り扱いが出来ているかを見てもらいOKが出てから2の矢を始めてください。


POINT 1
受付時に初心者である事を伝えストレートの練習がしたいということをシッカリ伝えましょう。
射撃場によってはストレートの練習が出来ない場合もあるので事前に確認しておきましょう。

POINT2
発射時以外は常に銃を折る事を徹底しましょう。折ってあれば常に安全です。

POINT3
周りの方には必ず挨拶をして自分が初心者である事を伝えサポートしてもらいましょう。

事故が無いように安全な取り扱いを心がけ存分に楽しんでください。!