クレー射撃全般

銃身の重さにこだわる

銃身の重さに付いては3年半位前から1.5kgを切る物にこだわってました。当時(今も)ミロクのハイリブを使っていました。
ちょうど国際ルールの変更がありクレーが早くなってきた頃だと思います。先の重い銃だと銃身の回頭性が悪いと言う点に大変不満を持っていました。とにかく単純に銃身が軽ければ解決すると言うのが僕の考えでした。
今でこそベレッタのS682Gなどは銃身重量1.4kg後半の物が主流として出まわってきましたが、当時は(今でもかなりその傾向が...)銃は先重が一番で先軽はダメ!が定説でした。これはその昔、射撃用装弾が32g〜35gだった頃に強烈なリコイルを緩和する効果が銃身の重量と直接関係していたために先重の銃が良いとされていたのでしょう。しかし現在24g装弾となり、それほど銃身の重さと言う物が関係無くなってきているのです。得に女性のトラップシューターが近年増えてきているのもこのためです。射撃教本にはいまだに、「トラップは人並み以上の体格を有し...」と書いているらしいですがもう体格差は関係無くなってきました。
しかしながら、軽い銃身のデメリットもかなり有ります。まず銃が飛びやすいという点です。さらに銃が止まりやすいのも現実です。しかしある程度技術があれば使いこなせます。24g装弾でしかも80mもクレーが飛ぶ現行ルールでは、いかにクレーと飛ばさないでスイングを開始できるかが勝負の分かれ目となってきています。クレーの放出と同時に振り出すには軽い銃身が必要とされてきているのです。
ミロクのハイリブは当初サイドリブが先と元の2点止めでかなり軽めにできていました。しかし現行物はスキート銃と同じフルサイドリブとなっています。僕の5000Tもこのタイプで銃身重量が1.54kgも有りました。そこでどうにか軽量化する方法は無いかと色々考えた結果2つの方法を思いつきました。

1.サイドリブをはがす perazzi mx11
本来サイドリブなど先だけ付いていれば良い物なのでこの方法はかなり有効です。実際この方法で約70〜80g軽量化が出来ます。この方法で昨年ASE‐Gの銃身を約75g軽くしました。しかしこの方法が有効なのはサイドリブの接着がハンダ付けの銃に限られるため銀蝋付けのミロク銃は不可能です。

2.トップリブを削るmiroku 2800hs
僕はこの方法で銃身の軽量化を実現しました。この方法はイタリアのスキート射手でオリンピックチャンピオンのファルコ選手がASE‐Gで行っている方法です。ファルコ選手はこの方法とサイドリブをはがす方法を併用して実に銃身重量1.2kg代まで軽くしています。(重さに付いてはブルネイWCの時にイタリアの選手から聞いた)
実際、僕の銃身は60gの軽量化で1.48kgまで軽くなりました。出来ればもう30g軽くしたい!
(本音)
ここで皆さんの中には、「たかが60gで」とお思いの方も多いと思いますが、実際に計り知れない戦闘力のアップにつながるのです。

良く一般的に銃のバランスを見る時に先台とレシーバーの間を指の上に乗せ銃口の上がり下がりで先重だ、元重だといっているのを見ると思いますが、実際にはまったく意味がありません。と言うのはいくら見た目に銃口が理想的な動きをしても、ただバランスがとれているだけにすぎません。
もし銃口と台尻、つまり両端に重さが集中していてもバランスは取れてしまうからです。銃の回頭性は、いかにレシーバー付近に重さが集まっているかにかかっているのです。本当のバランスとは、銃身の先端が軽く、なおかつ元重になり過ぎない様に調整しなくてはなりません。
つまり自動車のミッドシップと言うやつです。

ちなみにぺラッチはレシーバー重量が約1kg有ります。このぺラッチの1kgとは他のメーカーと比べると重いほうなので銃身の重量も比較的重めでも回頭性はかなり良いほうです。もしぺラッチのトラップガンで銃身重量が1.45kgを切ると銃が走りまくり、かなりの技術が無いと使いこなせないと思います。銃を振り出した時にはトリガーを引いていないとあっという間に銃が先に行ってしまうことでしょう。一般の射手が使うならぺラッチの銃身重量は1.55kg位がベストと思います。

最新事情
今現在(2003年)私はPerazzi MX8を使っています。銃身重量は1.41kgで特殊加工チョークのスーパーベロックス仕様の特注銃身です。Perazziのレシーバーを使い銃身自体は外注で製作し仕上げの段階でPerazzi社に戻し打刻を入れて外見上はまったくPerazzi社純正品と同じにできています。銃身のウェイト率(銃身のバランス、通常は40%前後)は20%でクロスポイント(通常は36m前後)は28.5mです。このようなことはイタリアナショナルチーム内で実際いに行われています。「ナショナルチーム用の銃身は特殊なチョークが施されていて当たるらしい」Perazzi社でよく当たるのに一般売りはしていないのはおかしい!という話が出ていますが銃身は外注で製作されていてPerazzi社で作っていませんので当然Perazzi社からは販売されません。しかしながら銃はPerazzi社から出てきます。私の銃身には1.53kgと打刻してありますが実測値は1.41kgです。これは市販品には絶対に存在しない重さなので1.41kgとはPerazzi社では打刻ができないのです。当然Beratta社でも一部の選手用に行われています。この仕様のPerazziは今現在日本国内には2丁しか存在しません。イタリア国外には出したくないみたいです。私の銃が出荷される時にかなりもめたようですが「どうせ日本人には使いこなせないだろう」と言うことで輸出されました。
そんな物が存在するのかと思っている方がいましたら射撃場等で見かけた際に声をかけてください。銃を持ってみただけでわかるはずです。