フィリピンアジアクレー
ダブルトラップは比較的アジア勢が世界ランキング上位を占めています。今回の一番の目的は3〜4cmのハイリブに改造した銃の最も効率の良い使い方(射法)を実際に自分の目で見て、また初矢の銃の位置をまねてみて自分に最も合う方法を探すことにありました。
国内では5人以上で撃つ機会がありませんので公開練習と本番と6回撃てるこのチャンスを無駄にすることなく、想定していった事と実際の違いを確認する作業に徹底しました。

おそらくこの作業は各国の選手は2年前に試行錯誤して取り組んでいたのだと思います。ですから私は2年以上出遅れていて、しかもあと1ヶ月ちょっとでその差を詰めなくてはなりません。あまりにも無茶な話ですが逆に現在の世界ランキング上位の選手は試行錯誤を経て現在のスタイルになったことを考えると完成形が目の前にあるわけですから自分に合う射撃スタイルの選手を見つけそのままマネをし各選手の良いとこ取りをすることでかなりの近道になるはずです。

8月にリブがほぼ完成して、まったく何も分からないところから始めて自分なりになぜ皆このハイリブ仕様なのかを考察し出た答えはハイリブの分だけ左目の視界が広いから高付けでもクレーの発見が容易なのだと理解していました。

確かに早く撃てるのですがミロクのハイリブでも目いっぱいで撃てば同じくらいで撃てるのも事実。
一部の人がやっているのであれば流行かとも考えられますが競技に参加している95%の人がこの仕様に改造していることから絶対的に有利な何かがあるはずなのです。
さらにPerazzi社はMX2005の販売を開始しハイリブが有利なことが確実になってきました。

大会参加前行われた熊本の親善大会でマレーシアの選手と韓国の選手と3人で今のハイリブ仕様の銃の撃ち方の論議をして視界が広いから早く撃てるというのは間違いないのですが、まったく方法論が違うことが判明しました。

私が考えていた早く撃つというのはあくまでも照星でクレーを捕らえて狙うことが前提でした。
しかし実際は違いました。初矢を撃つ段階で照星もクレーも関係ないのです。
初矢は「左目で見て銃口の下にクレーが来たら撃つ」と言うパターンと「クレーの放出が左目で確認できたら反射的にトリガーを引く」と言うパターンの2極化であり基本的にはコールと共にトリガーを引いてクレーを割る芝撃ちの延長線上にある物でした。

実際に親善大会終了後の強化練習で早速試してみたところ愕然としました。
今まではクレーと照星を狙点にあわせて撃っていました。そうすると2の矢に移行するさいにスイングの軌道が斜め上方向になるのですが、この銃の仕様だとハイリブの分銃口は実際に下を向いていますので照星よりもクレーの位置がかなり下の段階で初矢を撃破となります。

クレーは2枚同時放出ですので2の矢側もまだ照星の水平レベルよりも下にあり銃を真横に振るとクレーが丁度照星に絡んでくるのです。
私の撃てる限界でおおよそ7mくらいで初矢を撃つことになります。余裕を持って10mでしょうか?
とにかく2の矢のみ良く狙えばいいのです。

良く狙うと言ってもスキートのリード射法の様な物ですから出来るだけ無駄な動きをせずに最短距離を出来るだけゆっくりスイングすることが絶対条件になってきます。
と言うわけで親善大会で得た情報は私のとって値千金でした。

これでクウェートで十分に戦えそうな予感がしてきました。
とりあえずフィリピンですべきことを検討しました。今回は競技に参加して表彰台を狙うのではなく、あくまでも一流選手の初矢の射撃ポジションを確認して自分に出来るか?が一番の課題でした。

かねてから目をつけていたインドの選手とカタールの選手、中国の選手の3人に的を絞り初矢のタイミングと2の矢に移行する時の動きをチェックしました。

幸いにも中国の選手とは公開練習でインドとカタールの選手とは本番で同じ射台で撃つことが出来たために十分なサンプリングが出来ました。しかしサンプリングに徹底したために成績は散々でした。
1周ごとに照星の置く位置を調整しながらトリガーのタイミングを変えて1ラウンド5回(5周)x3ラウンド(ABC) x2回(公開練習と本番)30パターン試したところ4パターンほどに絞れました。

残り1ヶ月の期間で4パターンを2パターンに絞込み後は現地でかみ合う方を選ぶ方針で行きます。

通からの入り口です。
警戒が厳重で警官の詰め所がありやたらと出入りが出来ません。
大山さんの最終ラウンドです。
満点が出そうだったので写真を撮りに行ったのですが撮影した24枚目、25枚目を抜き23点に.....。
なんだかすごく悪いことをした気持ちで一杯に...。orz
昨年の世界選手権優勝のインドの選手です。
これはファイナルの模様!
表彰式でパプニング!
インドの国歌が間違えて違う国のものが!
慌ててインドのものを探してみたものの見つからずしばし中断。
結局見つからず選手達が国家をアカペラで歌うことに!
不名誉なハプニングですが、これはこれで盛り上がりました。
女子トラップは鈴さんが2位に入りメダル獲得です。
おめでとうございます。
クラブハウスの待合所です。扇風機が全開で回っているので意外と涼しくみんな集まってきます。
組織委員会のお手伝いの方です。
左の扉の部屋は装弾チケットやラウンドチケットを販売している部屋です。
右の部屋は銃の受け渡しと装弾の引き換えを行っている部屋です。
こちらでチケットを購入します。
こちらが銃及び装弾の受け渡し所です。
ダブルトラップのファイナルの様子です。
パウダーの位置から見て7mくらいのところで初矢は割れています。
お土産販売所です。
今年からISSFの規定でスポンサー規制が厳しくなり帽子は大会オリジナルの物か国名のみ入っている物もしくは無地と決められました。
ここでは帽子、Tシャツ、ポーチが売っていました。
ダブルトラップ種目で使われている銃です。
市販品ではMX2005、682GE-Xtrapを使用している人が多く全体の30%くらいでしょうか?残り65%は何らかの改造をしてハイリブ化してあります。


下の写真はインドの選手の物です。
親指の付け根にホールド性を上げる工夫がされています。
最近この仕様のストックを結構見ます。これはイタリアのロナトにある銃砲店で製作しているようでそこに作りに行くのが流行りのようです。
ちなみに私もこの仕様のストックをスキートの台で昨年製作しました。
効果のほどは上々です。
私も次に作る時はこの仕様で製作をする予定です。
こちらの女性はマニラで日本製のオシュレットや日本人向けに住宅を販売している方で埼玉県の川口市に2年勤務していたとの事で日本語がぺらぺらでした。
トラップの成績です。
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