アジアクレー シンガポール2006-9/2〜9/9
9月2日から行われたアジアクレー射撃選手権に参加しました。
アジアクレーへの派遣に関しては昨年度に記録会を行い基準点をクリアーした選手で構成され大会に臨みました。私はシンガポールでの大会は初めてで現地の気温の高さに皆苦戦していました。事前に行われた熊本での強化練習もかなり暑い気候の中で行われましたがそれ以上の気温と湿度に体力を奪われる状態で休憩時間のすごし方もコンディションを維持するところから試合が始まっている感じでした。
シンガポールはISSFの射撃競技人口が少なく男女合わせてトラップが7人、スキートが5人、ダブルトラップが1人だそうで設備が良い射撃場もほとんど使われることが無いそうです。
今回私はトラップ組みと出発をご一緒させていただき予定より早く現地入りしました。
そのせいか気候にもなれ試合当日は体調面のコンディションもよく試合に集中することが出来ました。
1ラウンド目(Aセット)に46点で撃ち2ラウンド目(Bセット)は後半で集中力が欠け残り7回で5枚外してしまい43点、3ラウンド目(Cセット)はもう決勝に残るには満射しかない!と言う意気込みでのぞみ48点で上がり合計137点で無事ファイナルに残りました。
しかしながら今回はいろいろなアクシデントがありました。
@初矢で使っているフィオッキトップブラックで不発がかなりの確率で出る。
Aファイナルの選手紹介の時にイヤーマフの軸が折れ決勝の時に使用不可になる。
Bシュートオフの時に弾が15発しかなくドキドキする。

まず@ですが初めは雷管の取り付け位置が低い物が混じっていてそのため不発が出るのだと思っておりました。大会当日は自分で雷管部分を指でさわりすべて検品して怪しいのを避けるという方法で選別して試合に臨みましたが予選3ラウンドで4発不発と言う事態に動揺して2回後矢を外してしまうという不運に見舞われました。
この不発はこの後秋田で行われた日本選手権でも多発し使用装弾を変更検討させるにいたりましたが兵庫国体で使用する弾は変更がきかないことから原因の究明に取り組みました。
まず不発の原因が銃器にあるのでは?と当然のことながら考えました。そこで撃針とハンマースプリングを新品に交換しましたが結果は変わりませんでした。
色々検討した結果、国体の強化練習中に弾の成型段階でロンデルのつばの薄いものがあることが分かり銃身内にわずかにもぐりこみ撃針が届かないことが分かりました。ベレッタではまずおきないのですが私のミロクではこの現象がおきるようです。これも特定のロットが怪しいことが分かりそのロットをよけさらに検品することで回避できると確信しました。
使用装弾を変更すればよいのでしょうが私はこの弾を信頼しているので使い続けて行きたいからです。

Aこれはホントに動揺しました。軸が折れてしまい使用不可能になりスポンジの耳栓のみでファイナルを戦いました。通常ですと必ず予備を持っていっているのですが今回に限り持っていませんでした。4年使用して寿命だったのかもしれません。いつも耳栓は2重にしていることから試射の時にかなりの大きさで発射音が聞こえこれについても集中できなかった原因と考えられます。

Bについては海外遠征時には持っていける弾の数が限られていて今回も試合ぎりぎりしかなく、しかも不発対策で怪しいのを避けていたためにファイナル終了後15発しか持っていないという事態に陥りました。
試射をして残り13発しかなく「あぁ早く相手が外してくれ」とそんなことを考えていては勝てるはずも有りません。しかしながら初めの5回(10発は)共に命中し2周目に突入しました。そこで先に撃った相手が2の矢を外しチャンス到来!しかしこの段階で3発しか弾が無くこれで決めないとこの先どうなるんだ?弾を調達するまで中断して待っていてくれるのか?など考え余計に「これで決めないと!」と思いものすごいプレッシャーに襲われました。ここ5年で一番の緊張状態でしょう。結果的には外してしまい同点のまま次の射台へ移っていきました。その時、日本クレーの事務局の永島さんが弾を調達してきてくれてほっと一安心。しかしながら9回目のトライで後矢を外しここで終了。ファイナル6着で進出⇒6着で終了となりました。

大会結果はA46+B43+C48⇒F42=179点で6位でした。     スコアーボード画像
射撃場まではシャトルバスで送迎されます。
時間は約30分くらいです。
射撃場に到着するとまず銃と弾を銃保管庫から出します。
射面は2つあり間隔はかなり開いていますので隣のクレーが気になることはほとんどありません。
正面は空抜けです。海外にはこのようなロケーションの射撃場はけっこう多いです。シューティンググラスのレンズカラーのチョイスを誤ると全然クレーが見えません。
射面裏には休憩所のテントが設置されています。
開会式も盛大に行われました。
先発で出発したトラップチームが開会式に臨みました。
男子トラップチームと一緒に!
女子チームと男子チーム
開会宣言と共に風船と紙吹雪やテープが空を舞いました。
開会式は予定よりも40分近く遅れました。これはシンガポールのVIP待ちのためです。
なにやらかなり偉い方が挨拶に見えたようで開会式終了後すべての選手と握手をして回っていました。
気になる最新の選手使用銃事情ですがアジアクレーなのでこれが世界標準だ!と言えるかどうかは分かりませんがお知らせします。

この銃身は中山選手の物です。
こちらは香港の選手の物ですが中山選手同様DT10ですがトップリブはこのタイプです。
チョークは下が交換式でした。意外とこのタイプの銃身が多くベレッタもペラッチも交換チョークの30インチ(29.5インチ)が目立ちました。
この銃はケーメンです。ベトナムの選手が使っていました。
まるで「まが玉」のようなポーティングですが効果はどうなのでしょう?
この加工をしてある銃が何丁かありましたが厳密に言うと、これはISSFのルールでは違反となります。ポーティング加工は銃の製造メーカーで行ったものしか使えないと決まっています。
ケーメンの日本国内の正規代理店である小原銃砲さんにこの写真を見てもらったところケーメンではこのような加工は行っていないと言うことです。
別に上位に入賞しているわけでも無いので表立ってクレームもつける人がいないのでしょう。
日本国内でも意外と独自にポーティング加工をしている銃を見ますがISSFルールにのっとって行われている公式戦では使用は認められていません。公式戦に参加している皆さんも注意が必要です。ポーティングはメーカーで正しく行いましょう。
この銃はダブルトラップ用に改造された物で特に目を引いた(笑った)ものです。ベースはDT10でそのハイリブ加減にはびっくりしました。今大会で一番のハイリブでした。
大会終了後この選手やインドの選手が私の銃を見に来ました。私の銃もミロクのハイリブですが参加者の80%がこのように銃の先端に5〜10cmくらいの下駄をかまして極端なハイリブ化をしていましたのでノーマルリブ(ハイリブだけどw)で決勝に残ったのが不思議だったのでしょう。
私の銃を見て一言「very low」といい去っていきました。
こちらの銃も上のものと同様に同じ加工が施されていましたがこちらの方が低いリブでした。
この銃は構えさせてもらいましたが構えてみると意外と違和感は無くいい感じでしたがいったいどうやってクレーを狙うのかは不明です。照星で狙ったところに弾は飛んでいくのでしょうか?
本人に聞いてみたところ一言「シークレット」と言われました。
この銃に関して一番驚いたことは銃の軽さです。見た目はノーマルのフラットリブDT10に下駄をかませた仕様ですが体感ではかなり軽かったです。きっと特注で作られた秘密いっぱいの銃なのでしょう。
しかしながらこの2丁には負けませんでした。
彼はシンガポールで3人いる男子スキートの選手です。
大会中いろいろ面倒を見てくれました。銃庫から射面までは意外と距離があり重い荷物を持っての移動はかなり疲労します。しかし彼がいつも車を出してくれ運んでくれたので大助かりでした。
彼はイニシャルDのファンで走り屋を目指しているらしいのですがシンガポールには山は無く当然峠も無いので脳内でドリフトを決めているようです。
とにかく車が好きでホンダのフィットに乗っていましたがドレスアップチューンに余念が無くいつもピカピカでした。
シンガポールでは輸入車には関税が200%かかるのでフィットと言えども500万円近くするのです。